不妊治療③ -タイミング法や人工授精では……-

基本的な検査では「不妊の原因となるものは特にない」と言われた私たちだったが、
その後もさっぱり妊娠しなかった。

 

当時、私は人様の妊活ブログを読み漁っていたので、偽陽性だとか蒸発線だとか、
なにやら本当は妊娠していないのにうっすら検査薬が色づく現象があるらしいことも認識していた。
が、私の場合はそれすらもなく、検査薬は毎回毎回真っ白だった。

 

そして2021年4月、私たちはようやく本格的に不妊治療に臨むことにした。
妊活を意識してからここまでで既に2年半が経過していたが、もっと早く始めれば…という後悔はない。
不妊治療に挑むにはそれなりの心の準備というか、腹をくくる必要があって、
私たちの場合はそのために2年半という時間が必要だった。

 

私たちは検査をしたのと同じクリニックに行き、治療に臨んだ。
まずはタイミング法を実施した。
タイミング法は、何回か通院しながら排卵日を見極め、その前後でタイミングを取る方法である。
かかる費用は数千円。
検査薬やら基礎体温やらでやっていたことがエコーに変わるだけで、タイミングを取るのは変わらない。
私たちは3、4回ほどタイミング法を実施したが、妊娠できなかった。
やはり普通にタイミングを取るのではだめらしい。

次に、人工授精に進んだ。
排卵日を見極めるのはタイミング法と同じだが、タイミングを取るのではなく、
精子をクリニックに持参して、クリーニングした精子を直接子宮に注入する。
男性側に不妊の原因がある場合に比較的有効な治療法のようだ。
かかる費用は約2万8千円。タイミング法と比べるとぐんと高くなる。
実は私は、人工授精では妊娠しないような気がしていた。
夫の精子の運動量には問題がなく、むしろ平均より運動量が多いくらいだったからだ。
しかし「もしかしたら」という思いで人工授精に挑戦した。
人工授精は、4回実施しても妊娠しない場合は、その後継続しても妊娠することは少ないそうなので、
上限4回までと決めて人工授精を行うことにした。

 

1回に2万8千円もかかって、なんとなく「これじゃだめだろうな」と思いながらも、
なぜ人工授精を4回も(合計約11万円…高い……)行うことにしたのかと言うと、
その先に待ち受ける、さらに高額で1回
数十万円の体外受精に進むべきか、決めきれなかったからだ。
人工授精を4回やってもだめなら、あとは体外受精に進むか、不妊治療をやめるかになる。
少し選択肢が狭まって決めやすいと思った。
原因不明の不妊の治療というのは、可能性をひとつずつ潰していく作業だ。


私たちは人工授精を実施した。妊娠せず、妊娠せず、結局4回目も妊娠しなかった。
やはり予想通り、人工授精は妊娠できなかったのである。
体外受精に進むか、不妊治療をやめるか――。
先生からは「タイミング法に戻ることもできるので考えてみてくださいね」と言われた。
しかしタイミング法に戻してもおそらく妊娠することはないだろう。


ちなみに、ここまででかかった費用は合計で約17万5千円となっていた。
体外受精にかかる治療費は60万円以上になることもある、とクリニックからもらった資料には記載されていた。
しかも60万円以上払って治療をしても、必ず妊娠するとは限らない。

 

さて、どうするか?